パラタルアーチの矯正治療を歯科医が解説|パラタルアーチで痛む期間や治療期間も紹介します

【監修:青山健一】

パラタルアーチの矯正治療を歯科医が解説|パラタルアーチで痛む期間や治療期間も紹介します

歯並びを整える矯正治療の過程で抜歯が必要になることがあります。例えば小臼歯を抜歯して犬歯や前歯を後方に移動させる治療などです。
小臼歯を抜歯すると第1大臼歯も前方に移動してしまい、作った空間が確保できない場合があります。そのような移動は抑止しなければなりません。

そこでパラタルアーチという固定式装置を利用して第1大臼歯が移動しないようにします。
ここではパラタルアーチの治療内容やメリット・デメリット、痛みの対処法など、パラタルアーチとうまく付き合う方法を考えていきましょう。

パラタルアーチとは

パラタルアーチとは

パラタルアーチは歯列矯正治療に使われる固定式装置の1つです。パラタルとは口蓋のことで、そこにアーチを描くように太めの矯正線(主線)を張ります。

この治療は固定源を強化するため加強固定と呼ばれます。また、口蓋中央にあるループは、歯並びの横幅を維持・調整するためのものです。

目的

パラタルアーチを利用する目的は、上顎第1大臼歯が動かないように固定することにあります。
抜歯治療の場合、第1大臼歯が前方へ移動してしまうと犬歯や前歯を後方に移動させる空間が確保できないため、パラタルアーチで第1大臼歯を固定するのです。

また口蓋中央にあるループは、歯並びの横幅を維持する、あるいは調整する目的で利用します。

治療方法

左右の上顎第1大臼歯に金属バンドを取り付けセメントで固定します。
主線は0.036”と太めのサイズです。口蓋中央部にループを作ったら直接ろう着させて金属バンドと連結します。

あるいは、金属バンドの舌側にシーズをろう着し、そこに矯正線を曲げながら挿入して連結を維持することも可能です。
症状によってはヘッドギアと併用し固定の強度を最大化します。

治療期間

治療期間

いったんパラタルアーチを装着すると、治療が終わるまで取り外すことはできません
抜歯の際にパラタルアーチを使う場合、最低でも1年間は継続して装着する必要があります。
長期間の使用になるため、口内のケアを怠らず虫歯や歯周病を予防しましょう。

パラタルアーチの適応例

パラタルアーチの適応例

パラタルアーチは上顎臼歯部の主に第1大臼歯を固定化し、永久歯列」と「咬合歯列の矯正に用いられます。
多い適応例は永久歯列の矯正の際の加強固定です。他にはどのような適応例があるのか詳しく説明します。

永久歯列矯正

永久歯列矯正では、抜歯などの際に臼歯が近心(前方)へ回転・傾斜するのを止めるためパラタルアーチで加強固定します。
加強固定を最大化するためにはヘッドギアの利用が有効です。第1大臼歯の加強固定により前歯を遠心(後方)へ牽引し、叢生などの歯列矯正治療を行います。

その他

その他

永久歯列の矯正以外では咬合歯列の矯正にパラタルアーチを用いる場合があります。下記のような場合に有効です。

  1. 臼歯の捻転を改善する
  2. 臼歯の垂直的位置を保持する
  3. 歯冠の頬・舌側への傾斜を改善する
  4. 萌出スペースの確保

パラタルアーチの装着の影響

パラタルアーチの装着の影響

パラタルアーチは上顎の口蓋に主線が横切るように装着される矯正装置です。そのため装着直後の違和感は強く痛みがでます。
またしゃべりにくい感じがしますし、人によっては虫歯になるため注意してください。
ここでは、パラタルアーチを装着することによるさまざまな影響について理解しておきましょう。

強い痛みがある

パラタルアーチを装着すると数時間後に歯が浮いたような痛みが発生します。この痛みは数日続く場合が多いです。
パラタルアーチの効果が出ているための痛みで、慣れてしまえば消えます。しかし、痛みの強弱や継続期間は人それぞれです。

耐えがたい痛みが出ている場合は、矯正歯科へご相談ください。矯正の加圧度を弱めて痛みを軽減することもあります。

滑舌が悪くなる

滑舌が悪くなる

パラタルアーチは上顎の天井を横切るため、装着したばかりで慣れないとしゃべりにくい感じがします。特に発音が難しいのはタ行やサ行です。
舌がうまく口蓋にあたらない、あるいは歯が浮いた感じがあって痛いため上下の歯を噛み合わせられないなどが原因で滑舌が悪くなります。

人と会話をするお仕事の方や外国語を習得中の方などには不自由な状態ですが、数週間ほどで慣れてくるため辛抱しましょう。

虫歯になりやすい

矯正歯科治療の際に固定式装置を利用すると長期間装着が継続するため虫歯になりやすい傾向があります。
装置周辺のケアは矯正専用の歯ブラシやデンタルフロスを利用して丁寧に行ってください。フッ素入りの歯磨き粉を使用することも有効です。

パラタルアーチで痛む期間と対処法

パラタルアーチで痛む期間と対処法

パラタルアーチは大臼歯を強力に固定するため、装着後はどうしても痛みが発生します。
子ども用でパラタルアーチと類似の固定式装置にリンガルアーチがありますが、固定力が弱い分痛みはあまり発生しません。

リンガルアーチでは第1大臼歯を完全に固定化できないため、永久歯列治療にはパラタルアーチが用いられます。
大臼歯を固定化すると発生する痛みについて理解を深め、痛みとうまく付き合うためのポイントを抑えましょう。

痛みの原因

パラタルアーチは大臼歯を固定します。もう少し詳しくいうとパラタルアーチは大臼歯のトルク(回転・傾斜)をコントロールするための装置です。
大臼歯のトルクをコントロールするため、歯根に圧力がかかります。これが歯が浮いたような感じの原因です。

痛みは上下の歯を噛み合わせる際に発生します。食事や会話で噛み合わせるとき痛いため、慣れるまでの間は我慢してください。

痛む期間

痛む期間

パラタルアーチの装着後に感じる痛みは、装着してから数時間で発生し、その後数日間続きます。どの程度の期間かは人それぞれです。
多くの場合は、強い痛みが2~4日続きますが、その後解消していきます。しかし1週間を過ぎても痛みが続く人もいるようです。
痛みが長く続くような場合には、矯正歯科医にご相談ください。

痛みの対処法

痛みが発生するのは、歯根への圧力がかかる噛み合わせ時です。食べ物を噛むときに特に感じる痛みになります。
痛みに慣れるまでは、堅い食べ物を食べないようにして、なるべく柔らかい食べ物を選んで痛みに対処してください。

痛みが1週間以上も長く場合には、我慢せずに歯科医へ相談しましょう。歯根にかかる圧力を調整して痛みに対処することもできます。

パラタルアーチ使用時の注意点

パラタルアーチ使用時の注意点

パラタルアーチはセメントで固定されているため取り外すことができません。装着したまま食事、歯磨きなど日常生活を続けることになります。
パラタルアーチの主線に食べ物がひっかかってしまうことがありますが、その場合は歯ブラシやデンタルフロスを使って優しく取り除いてください。

パラタルアーチの金属バンド周辺は虫歯になりやすい部分ですから、歯磨きの際は矯正用のデザインのブラシを使って丁寧にケアをしましょう。

パラタルアーチと上手に付き合う秘訣

パラタルアーチと上手に付き合う秘訣

パラタルアーチは上顎の口蓋を矯正線が横切るため、舌に当たって口内炎を引き起こすことがあります。慣れるまでは気になって舌を当ててしまうことが原因です。
また歯根に圧力がかかるため食べ物にも制限がかかります。痛みが消えるまでの間は柔らかい食べ物で我慢しましょう。

パラタルアーチが滑舌を悪くするというお話をしましたが、矯正中であることを周囲に理解してもらうことでストレスを軽減することも大切です。
パラタルアーチになれてしまうと、取り外したときに今度は違和感があるという患者様もいらっしゃいます。

パラタルアーチは長期間装着しなければならないため、装着直後は慣れることに専念してください。慣れてきたら口内のケアをしっかり行ってトラブルを防止しましょう。

パラタルアーチで悩んだら専門医に相談

パラタルアーチで悩んだら専門医に相談

パラタルアーチの構造や適応例についてお話ししてきました。大臼歯を固定する必要性をご理解いただけたでしょうか。
ただパラタルアーチは痛みがあったり、滑舌が悪くなったりするため積極的に使いたいという気持ちになれない矯正装置のひとつです。

パラタルアーチのことでお悩みの方は、矯正歯科医へご相談ください。あなたの歯並びに応じて適切な対処法をアドバイスしてくれます。

まとめ

まとめ

パラタルアーチを使った矯正治療について解説してきました。歯並びを整えるには大臼歯をしっかりとしたアンカーにする必要があるのです。
実際にパラタルアーチを使い始めると痛みや口内炎の発生など、利用し続けるためにさまざまな工夫が必要になります。

特に痛みについては歯に圧力をなるべくかけない生活方法を見つけて対応しましょう。しゃべりにくさは慣れにくいかもしれませんが、周囲の理解を得て乗り越えてください。
パラタルアーチで歯列・咬合の問題を解決して、美しい歯並びを手に入れましょう。そして、しっかりと食べ物を噛める幸せを感じてください。

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