よく「仕事がただの作業になってしまって、やりがいを感じられない」「周りから正当に評価されていない気がする」という声を耳にします。
私たちはどうしても「最小限の努力で、最大限の報酬を得ること(コスパ)」を重視しがちです。
しかし、実はその考え方こそが、私たちの満足度を下げている原因かもしれません。
今回は、「期待値」と「プラスアルファ」の話をベースに、私たちの心を豊かにする働き方について考えてみましょう。
1. 人の心が動くのは「期待」を超えた瞬間だけ
心理学的に見て、人間が他者に対して抱く満足感は「期待値」との相対的な関係で決まります。
仕事でも日常生活でも、相手は「これくらいはやってくれるだろう」という一定の期待を持っています。
その期待の範囲内であれば、不満は出ませんが、特に感動も生まれません。
もし期待を下回れば、「手抜きではないか」「お金を払っているのに」という不満、つまりクレームに繋がります。
では、どうすれば相手に喜ばれ、自分も満たされるのでしょうか?
それは、相手の期待値を一歩超える「プラスアルファ」を提供することです。
例えば、何かの仕事を頼んだ際に、最低限の仕事で済ませる人と「ここまでしなくてもいいのに!」と思える仕事をする人とでは、その「余計なひと手間」こそが、「ここまでやってくれるんだ!」という感動を生み、強い信頼関係を築くきっかけになるのです。
2. 「最低限で済ませたい」という本能との付き合い方
一方で、私たちの脳には「楽をしたい」という本能があります。
学生時代のアルバイトのように、「時給が同じなら、最低限の仕事量で済ませた方が得だ」と考えてしまうのは、ある意味で自然な心理です。
しかし、社会に出てからもその考え方に縛られていると、皮肉なことに、誰からも高く評価されないという「痛い目」に遭うことがあります。
社会的に評価されるのは、常に「普通の人以上の余計なこと」ができる人です。
誰にでもできる最低限の範囲(許容範囲)にとどまっているうちは、人の心は動きません。
反対に、相手が「そこまでしなくていいのに」と思うくらいの丁寧さや工夫が、あなたの付加価値(プラスアルファ)となるのです。
3. 「めんどくさい」を「ゲーム」に変える技術
とはいえ、忙しい毎日の中でプラスアルファを積み上げるのは、正直「めんどくさい」と感じるのが普通です。誰かに何かを頼まれたとき、まず「面倒だな」と頭をよぎるのは、私も同じです。
ここで大切になるのが、「頼まれごとは、試されごと」という考え方です。 これを一種の「ゲーム」だと捉えてみてはいかがでしょうか。
• 「頼まれたものを、相手が驚くほどの速さで届けてみよう」
• 「相手が説明しなくてもいいように、先回りして準備してみよう」
このように、相手をどれだけびっくりさせられるか、喜ばせられるかを自分の中の目標(ゲーム)に設定すると、「めんどくさい」という感情が「楽しみ」に変わっていきます。
4. 身近な関係こそ「プラスアルファ」が必要
この法則は、仕事だけでなく、夫婦や家族などの身近な人間関係にも当てはまります。
付き合いが長くなると、「言わなくても分かってくれるだろう」と説明を省いたり、感謝を伝えなくなったりと、ついつい「手抜き(マイナスアルファ)」になりがちです。
しかし、本来は好きな相手、大切な相手だからこそ、相手が喜ぶ姿を想像して工夫を凝らすはずです。
例えば、好きな人のために作るお弁当には、自然とプラスアルファの思いがこもりますよね。
仕事においても、あるいは家族に対しても、「どうしてあげたいか」という主体的な思いを持つことで、自然とプラスアルファの行動が生まれ、それが自分自身の幸福感としても返ってくるのです。
おわりに:今日から始める「一歩」
もし、今のあなたが「一所懸命やっているのに、誰も認めてくれない」と感じているなら、それはまだ「当たり前の範囲」に留まっているだけかもしれません。
まずは今日一つだけ、相手の期待を1ミリだけ超えること」を意識してみませんか?
ほんの少しの丁寧な言葉添え、ほんの少し早いレスポンス。
その小さな「余計なこと」の積み重ねが、あなたの周りの空気を変え、何よりあなた自身の心を「心地よい充実感」で満たしてくれるはずです。
「楽をすること」が必ずしも「幸せ」ではありません。「楽をすること」と「楽になること」は全く違います。
「楽をすること」は現在のことですが「楽になる」ために今何をするかが違ってきます。
誰かの心を動かそうと工夫するプロセスの中にこそ、私たちの本当のやりがいは隠されているのです。
今日一日、あなたが誰かを驚かせ、喜ばせる「ゲーム」を楽しめるよう願っています。