ネガティブバイアスとは

自分のことを「メンタルが強い!!」と言い切れる人がどれぐらいいるのだろうか??と思うことがあります。
逆に多くの人は自分のことを「豆腐メンタル」と思っているのではないかと思います。
「メンタルが強い!!」にしろ「豆腐メンタル」にしろ結局「誰と比較して言ってるの??」かで変わってきます。
自分のことを「自分はメンタルが強い!!」と思っている人は「自分は鈍感」とか「自分は無神経」と思っているのと同じではないかと勘ぐってしまいます。(言いすぎでしたらごめんなさい)
逆に「自分は豆腐メンタル」で傷つきやすいと思っている人には、「周りの人もあなたと同じように傷ついているけど顔や行動に出さないだけだよ」とアドバイスするようになってきました。

というのも、私も自分のことを「豆腐メンタル」のように傷つきやすい人間だと思っていました。今も決して自分のことを「メンタルが強い!!」とは思っていません。

人間の本質として「ネガティブバイアス」という傾向があって、「人はポジティブな情報よりもネガティブな情報に注意を向けやすく、記憶にも残りやすい傾向がある」のが人間なのだから、嫌な出来事に対して傷つきやすいのが人間なんだと思っています。
自分のことを「メンタルが強い!!」と思うことも「豆腐メンタル」と思うことも単なるその人の思い込みだと思っています。
自分よりもメンタルの強い人もいますし、同様に自分よりもメンタルの弱い人もたくさんいます。
「平均的な人間はこのレベルだよな~~」と勝手に自分で平均を決めて、それよりも傷つきにくいか傷つきやすいかを自分でメンタルが強いか弱いかを自己判断しているような気がします。

過去の思い出でも、楽しい思い出よりも、辛い経験や失敗の記憶の方が鮮明に残るのが人間です。
他人のいい点よりも欠点に目がいってしまう傾向があります。
99人の賞賛よりも1人の誹謗中傷の方がいつまでも覚えているものです。

「メンタルを強くしたい」からと言って「鈍感な人間になりたい」「無神経な人がうらやましい」と思っているわけではないと思います。
60年間生きてきて思うのは、メンタルが強いか弱いかは問題ではなく、目の前の出来事をどう解釈していくかが大切なんだと思います。
私の好きな言葉の1つに「解決力より解釈力」という言葉がありますが、出来事を解決していくことよりも、目の前の出来事をどういう風に解釈していくかが処世術として大切だと思っています。
性善説と性悪説がありますが、人間は生まれつき弱くて傷つきやすい「性弱説」だと思います。

人間は「性弱説」で「ネガティブバイアス」だからこそ、目の前の出来事をどう解釈して生きていくかという「解釈力」が必要になってくるのだと思います。
私が意識している言葉の1つに「マイナス思考は無意識(感情)の力、プラス思考は意識(意志)の力」というのがあります。
人間は無意識で生きていればマイナス思考やネガティブバイアスに導かれていきますが、前向きな人やプラス思考の人は、そういう解釈の仕方を意識的に選択しているのだと思っています。
世の中には、メンタルの強い人とメンタルの弱い人がいるのではなく、嫌なことが起こってもマイナス思考や嫌な感情に流されないような言動を意識的にしているうちに、時間の経過とともに平常心に回復してくるのだと思います。

岡本真夜の歌で「涙の数だけ強くなれるよ」とか、武田鉄矢の歌で「人は悲しみが多いほど人にやさしくできるのだから」など傷つくことを奨励している歌詞もたくさんありますが、たくさん傷つき、たくさん立ち直った成功体験が人間としての幅も大きくしてくれるように思います。
その際に「解釈力」を伸ばしていくことで、傷つく期間を短くしていけるのではないかと思っています。

メンタルを強くしていくことは簡単にはできませんが、物事の「解釈力」を変えていくことは訓練で誰にでもできるように思います。

 

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