毎日を「最高に楽しい!」と笑顔で過ごせれば理想的ですが、現実はなかなかそうもいきません。
むしろ、「将来への不安と過去への後悔で、日々、生きていくのがしんどい」。そんな風に感じている方は、意外と多いのではないでしょうか。
私自身も、根っからのマイナス思考です。
今の仕事を広げているのも、「楽しいことをしたい」というよりは、将来の不安を避けたい、立ち行かなくなるのを防ぎたいという「将来的にしんどいことを避けたい」一心の結果にすぎません。
受験勉強と同じで、「今楽をすれば将来が苦しくなる」という恐怖が、私を突き動かしてきました。
しかし、ふと立ち止まると、先の心配ばかりして「今」をちっとも楽しめていない自分に、苦笑いしてしまうこともあります。
仏教には「人生は苦(思い通りにならないもの)である」という教えがあります。
心理学者のアドラーも、私たちの悩みのほとんどは「対人関係」にあると説きました,。
特に、自分以外の誰かが関わるとき、物事はますます思い通りには進まなくなります。
そして、そんな人間関係の摩擦の中で、私たちが無意識に振り回してしまうのが「正論」という名の鋭い刃です。
人は自分が「正しい」と確信したとき、驚くほどの力強さを発揮します。
感情が高ぶり、普段は言えないような強い言葉も、堂々と言えてしまいます。
なぜなら、「自分は間違っていない」という思いが、理性を超えたエネルギーを与えてくれるからです。
しかし、かつて私の子供が、喧嘩をしていた時に言った言葉が、今も私の胸に深く突き刺さっています。
「正論は、人を傷つけるんだからね!!」
この言葉は、人間関係の本質を突いています。
たとえ言っていることが100%正しくても、正論を突きつけられた相手は、自分を変えようと思う前に、まず深く傷ついてしまいます。
すると心にバリアを張り、反発し、あなたとの間に深い溝を作ってしまうのです。
正しいことを言えば言うほど、相手が離れていってしまう……。
そんな皮肉な経験を、皆さんも一度はしたことがあるのではないでしょうか。
もちろん、正しくないことを黙認するのが正解ではありません。
ただ、「自分は正しい」と思っているときほど、その言葉が相手を刺す刃になっていないか、少しだけ立ち止まって考える工夫が必要です。
事実は一つですが、解釈は無数にあります。
夏の暑さを変えることはできませんが、「暑いからこそ、どう考えるか」という受け止め方は、自分の理性でコントロールできます。
同じように、価値観の違う相手や、思い通りにならない出来事に直面したとき、「あ、今自分は正論で相手を叩こうとしているな」と一歩引いて自分を客観視してみる。
それだけで、私たちが抱える「しんどさ」の量は、少しだけ減らせるかもしれません。
自分の生き方が、必ずしも正解だとは限りません。
私たちにできるのは、ただ「自分なりに工夫して、日々をしのいでいくこと」だけです。
他人をジャッジすればするほど自分が苦しくなってきます。
「正しさ」に執着すると、それが自分に跳ね返ってくることがあるのです。
もし今、あなたが人間関係や将来への不安で心が疲れ切っているのなら、まずはその「正しさ」を、そっと自分の内側に収めてみませんか。
自分にも相手にも、少しだけ「思い通りにならない余裕」を許してあげる。
そんな心の隙間から、ほんの少しの安らぎが流れ込んでくるはずです。

