厳しい環境と甘い環境

カープの新井監督が来年も指揮をとっていくことになりました。
新井監督が監督に就任された1年目には、選手のことを決して悪く言わない「家族野球」で終盤まで好成績を残して、「今の時代は厳しくしないで選手がのびのび野球ができる方が望ましい」と周りからも高評価を受けていました。
最終的には9月に大失速して優勝は逃しましたが、多くの指導者にとってこれからの指導の在り方を考えるきっかけになったことと思います。

選手に対して厳しすぎるとパワハラになったり、イップスと言って普通のことができない状態になったりするので、プロ野球の世界でさえ厳しすぎる指導方法はご法度の時代になりかけています。
2年目のカープの成績は芳しくなくて、チームが負けているのに選手がミスした際に、今年も新井監督は決して選手のことを悪く言わなかったのですが、カープファンからすると選手を甘やかすようなコメントがじれったかったんだと思います。

職場においても、厳しくしすぎると社員が委縮して上司の顔色をうかがったり、思うようなパフォーマンスができなくなる可能性があります。
一方、緩い指導方法では、社員に緊張感がなくなって、お客さんからするともっと厳しく指導してほしいという気持ちが芽生えると思います。
自分が社員なら厳しいよりも緩い方が楽だと思いますが、自分がお客になったら、緩い指導のお店よりも厳しく教育されているお店の方が自分が嫌な気分にならなくて済みます。

お客さんは夜や日曜祝日などにお店があいていると助かりますが、社員は夜や日曜祝日は休みたいものです。
価格が安ければ、お客さんは喜びますが、価格を安くして利益が減って自分の給料が減ったり、忙しくなりすぎるのはスタッフとしては歓迎できないでしょう。
女性社員なら髪型や爪などおしゃれをしたいものですが、お客さんとしては社会人としてきちんとした身なりでの接客を望むものです。

経営者として、社員をとるかお客さんをとるかのバランスが難しいと感じます。
スタッフには気持ちよく仕事してほしいけど、患者さまが不快に感じる治療や接客をされたのでは困ります。
厳しくすればそれに耐えれるレベルの高いスタッフは残りますが、多くの脱落者も出てきます。
甘くしすぎると優秀なスタッフが辞めていって、楽をしたいスタッフが残ってきます。
子育てにおいても、どちらかにも偏らないようにしていくことが大切ですがなかなか難しいと思います。

当クリニックでは院内のルールや決めごとが多いです。
ルールや決めごとが多いことが面倒くさいと思っているスタッフも多いかと思いますが、スタッフが気持ちよく仕事していくためには必要なことだと思っています。
「何か事件が起きた時に、再発が起きないようにするために院内のルールを作っていく」を繰り返していたらどんどんルールが多くなってきたように思います。
国の法律も同じだと思います。
法律が整備されていないことで事件が発生しても、その行為を罰することができないと嫌な気分になる人がいるので、再発を防ぐためには法の改定が必要になってきます。

性善説と性悪説がありますが、人間には善の部分と悪の部分の両方を持ち合わせているのですが、ほとんどの人間は環境に流される弱い存在の「性弱説」です。
厳しい環境に染まれば自分を律せますが、緩い環境においてはどうしても甘さが出てくるものです。

イチローは「今は、教える側が厳しく教えることが難しい時代だ。そして、最終的には自分で自分を教育しなければならない時代になっている」という発言をしています。
あくまでバランスが大切かとは思いますが、緩い環境では成長しずらかったり、誰かが嫌な気持ちになったりしがちになるような気がします。
経営者をしている限り、厳しさと緩さのふり幅での悩みは尽きないと感じています。

 

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