比較と幸せ、そして今の自分の価値感
幸せや物事の感じ方というのは、「何と比較するか」「何が普通か」によって大きく違ってきます。
今朝、起きた時、脇バラのあたりが痛かったんです。
「痛いのが普通か、痛くないのが普通か」と考えた時に、これまでは痛くないのが普通でした。
60歳という年齢になり、今後70代、80代になったら「痛いのが普通」になる可能性もあります。
今後どうなるのかと不安にもなります。
若い頃は当たり前だったことが、年齢と共に当たり前ではなくなってきます。
例えば、老眼は60歳になると、仕事でもプライベートでも本当に不便だと感じます。
耳についても同様です。生まれた時から普通に聞こえてきたので、聞こえるのが当たり前だと思って感謝もせず生きてきましたが、今後もし耳が聴こえにくくなったりしたら、「若い時は何でも聞こえたのにな!」と過去を羨ましく思うようになるでしょう。
未来からの視点:今が一番若い
人は未来が見えないため、どうしても今現在を過去としか比較できず、過去と比べて「今の自分が衰えている」と感じてしまいがちです。
特に体の衰えで言えることですが、昔の方が良かったと思ってしまうものです。
しかし、私はこう考えるようにしています。
例えば、今、私たちが「不便だな」と感じている60歳の老眼でも、もし70歳、80歳になったら、「60歳の時の老眼は、まだ全然よく見えていた方だったな」と思うのかもしれません。
この考えを強く示してくれる、ある女優さんのエピソードがあります。
80歳でテレビに出ていたその女優さんが、先日90歳の人の集まりに参加した際、「私、80歳なんです」と言ったら、90歳台の方々から「80歳代は良かったわよ」と言われたそうです。
90歳の方々から見れば、「80歳の頃はまだ良かった、素晴らしい時期だった」と感じるわけです。
これは皆さんも同じです。
今、もしあなたが20代や30代だとしても、「もう歳だ」とか「10代の頃が羨ましい」と感じてしまうことがあるかもしれません。
しかし、もしあなたが40代や50代になった将来から今現在を振り返ったら、20代や30代の時期を「あの時が一番良かったのに」「あの時が一番若かったのに」と思うはずです。
だからこそ、意識的に考えるべきなのはこの真実です。
今後の未来から考えますと、「今」という瞬間は、今後の人生の中で最も若い時なのです。
そう考えますと、「昔と比べてどうか」ではなく、「今に感謝し、今できることに集中」して生きていくことこそが、「幸せな生き方」だと私は思います。
ベストな状態と比べないこと
あなたが体調を崩して気持ちが沈んでいるとき、特にこの考え方が重要になります。
野球選手を例にとると分かりやすいでしょう。
プロの選手にも、調子の良い時と悪い時があります。調子が悪い時に「ベストな時と比べて今日は万全ではない」と比較してしまうと、マイナスな考えに陥ってしまいます。
しかし、結果を出している選手は違います。
調子が良いか悪いかにかかわらず、「今日の自分はこういう状態なのだから、この中でできるベストのパフォーマンスをしていこう」と意識しているのです。
あなたも、ベストな体調ではないからと落ち込む必要はありません。今の状態を受け入れてください。
そして、今の状態が続いたとしても受け入れる覚悟を持ってください。
「治ってもよし、治らなくてもよし」と思えれば、治れば儲けもので感謝できます。
医院の状況と私たちの視点
物事はすべて受け止め方次第です。
当院の状況もそうです。確かに、今もまだ「あれもない、これもない」と、改善すべきマイナスな点を探せば山のようにあります。
しかし、例えば1年前と今の病院の状態を比較したら、「天国と地獄」ほど、今の方が劇的に良くなっています。いい人財もどんどん入ってきていますし、状況も少しずつ改善しています。
マイナスなことばかりを探すのではなく、一年前と比べたら改善している点に目を向けることで、私たちは前向きに進んでいけるのです。
土曜日が忙しいという状況一つとっても、「平日と比べて忙しいのは嫌だ」と思うこともできますし、逆に「明日休みだから、今週の終わりとして頑張ろう」と前向きな見方もできます。
私も、理屈ではわかっているものの、元々マイナス思考なため、意識的にポジティブな考え方を実践し、皆さんに共有しています。
そうしなければ、仕事も生きるのも辛くなってしまうからです。
この話が、あなたが日々の人生において、少しでも前向きな気持ちになるための助けになれば幸いです。
