大きな失敗をしたり、期待していた結果が出なかったりしたとき、私たちはどう反応するでしょうか?
今回の中道連合の選挙結果を受けて、大きく分けて3つの反応が見られると中道連合の政治家がインタビューで話されていました。
- 結果に打ちひしがれ、ただただ悲しみ、落ち込む人。
- 「あいつのせいで負けた」「仕組みが悪い」と、誰かのせいにして自分を正当化する人。
- 悲しんでいても始まらないと割り切り、「今の自分にできること」を前向きに探し始める人。
一見すると、3番目の「前向きな人」が特別に強い人のように思えるかもしれません。
しかし、長期的な視点で見れば、これらは個人の性格の違いというよりは、「心の回復プロセスのどの段階にいるか」というタイミングの違いに過ぎないような気がします。
実は、望まない結果が出た瞬間は、どんなに強い人であっても100%の人がショックを受け、悲しみを感じます。
そこから「誰かのせいにしたい」という防衛本能が働くのも、ごく自然な反応です。
自分に矢印を向けて反省するのはエネルギーが必要で苦しいことですが、他人のせいにすれば、とりあえず今の自分を変えなくて済むので楽だからです。
「感情」は変えられなくても、「戻る速さ」は変えられる
ここで、興味深い心理学実験をご紹介しましょう。
悟りを開いた高僧と、普通の大学生に、突然大きな音を立てて驚かせるという実験です。
計測の結果、驚いた瞬間の心拍数の上昇や恐怖の感じ方は、高僧も大学生も全く同じでした。
プロであっても、嫌なことは嫌だし、怖いものは怖いのです。
しかし、決定的に違ったのは、「そこから平常心に戻るまでの時間」でした。
私たちは、沸き起こる感情そのものをコントロールすることはできませんが、「いつまでその負の感情に留まり続けるか」は、訓練や経験によって変えていくことができます。
失恋を一例に考えてみましょう。
最初は相手の悪いところを探したり、相手のせいにしたりして自分を納得させようとします。
しかし、いつまでも相手を恨んでいても、自分の人生は1ミリも進みません。
「もういい加減、次の恋を探そう」と思えたとき、初めて前を向けるようになります。
自分に「矢印」を向ける勇気
心理学の世界では、病気や困難に直面した際の心理的変化には一定のステップがあると言われています。
ショックを受け、過去を振り返り、「どうすれば防げたのか」と後悔し、葛藤を経て、最終的に「起きてしまったことは仕方ない」と受け入れ、今あるものに感謝して生きていく……という流れです。
このプロセスの鍵となるのが、「矢印の向き」です。
不満や怒りの矢印を外(他人や環境)に向け続けている限り、自分自身の成長や進歩は止まってしまいます。
なぜなら、他人は変えられませんが、自分は変えられるからです。
「人や環境のせいにしても、自分の人生は何も変わらない」とどこかで気づき、矢印を自分に向けて「今、自分にできること」に集中し始めたとき、人は初めて困難を克服し成長し始めます。
「~のせいで」を「~のおかげで」に変える魔法
「あの失敗のせいで、人生がめちゃくちゃだ」
そう思っているときは、まだ暗闇の中にいます。
しかし、自分に矢印を向けて行動し、時間が経過したとき、多くの人がこう振り返ります。
「あの時の嫌なことがあったおかげで、今の自分があるんだ」
「~のせいで(マイナス)」という過去の出来事が、自分の行動によって「~のおかげで(プラス)」という経験価値に変換されるのです。
これを心理学では「外傷後成長(PTG)」と呼んだりしますが、実際、私たちが後になって「あの経験は良かった」と思えることの多くは、当時は二度と経験したくないような辛い出来事だったりします。
人間は「弱い」からこそ、仕組みで整える
私は、人間はもともと弱い存在(性弱説)だと考えています。
誰だって感情に流されたいし、人のせいにしたいし、楽をして良い思いだけをしたいものです。
しかし、世の中はそう甘くはありません。
もし今、あなたがうまく行かずに苦しんでいるなら、それは「実力をつけるための筋トレの時期」だと割り切ってみてください。
うまく行っているときは「自信」をつければいい。
でも、うまく行かないときこそ、本当の「実力」を蓄えるチャンスなのです。
おわりに:今、苦しんでいるあなたへ
今、あなたの目の前にある「嫌なこと」は、少し視点を変えれば、将来のあなたを支える大きな財産になる可能性を秘めています。
まずは、落ち込んでいる自分を責めないでください。
誰かのせいにしたくなる自分も否定しないでください。
それは回復への必要なステップです。
ただ、少しだけ準備ができたら、「矢印」をそっと自分の方へ戻してみましょう。
「今の自分にできる、ほんの小さな一歩は何だろう?」
その問いかけが、あなたの世界を「~のせい」から「~のおかげ」へと変えていく第一歩になります。
時間はかかるかもしれませんが、焦る必要はありません。
あなたのペースで、この心の旅を歩んでいきましょう。
