日々の生活や仕事の中で、ふとした瞬間にイライラを周囲にぶつけてしまったり、逆に誰かの何気ない一言に深く傷ついたりすることはありませんか?
「どうしてあんな態度を取ってしまったんだろう」と一人で反省したり、「なぜあの人は私のことを分かってくれていないのだろう!?」と悲しくなったり。人間関係の悩みは、私たちの心の平穏を簡単に奪っていきます。
そんな「ままならない人間関係」の中で、少しでも心を軽くするための話をさせていただきます。
人は「多面性」を持っているという真実
私たちはつい、人を「いい人」「悪い人」という二元論で判断しがちです。
しかし、人間は100%いい人でも、100%悪い人でもありません。
かつて、少し強面で「怖いな」と感じていた患者さんが、待合室で自分の赤ちゃんをあやしている優しい姿を目にしたことがありました。
その時、「この人にも父親としての顔があるんだ」と気づき、見方が少し変わった思いでした。
人には「仕事としての顔」「親としての顔」「余裕がない時の顔」など、いくつもの側面があります。
誰かの嫌な言動が見えたとしても、それはその人のたった一つの側面に過ぎません。
相手を「一つの顔」だけで決めつけない柔軟さを持つことが、人間関係のトゲを丸くする第一歩になります。
「正しさ」よりも「いたわり」を
人間関係が壊れる原因の多くは、お互いの「立場(見る方向)の違い」から生まれるボタンの掛け違いです。
タレントの小倉優子さんが離婚に際して語ったエピソードが、このことを象徴しています。
ひどいつわりで横になっていた彼女に、帰宅した夫が放った最初の一言は「ご飯できてないの?」でした。
夫からすれば「お腹が空いた」という単純な欲求だったのかもしれませんが、苦しんでいた彼女からすれば「まずは大丈夫?という言葉が先でしょう!」という行き違いから不信感に変わったのかもしれません。
どちらが正しいか、という議論に答えはありません。
大切なのは、自分の物差しだけで判断せず、相手が今どんな状況にいるのかを想像する「心の余白」を持つことです。
「信頼貯金」という魔法の言葉
私たちは、親しい人にこそ甘えが出て、八当たりをしてしまうことがあります。私も、土曜日の忙しさに忙殺され、思わずスタッフに当たってしまったことがありました。
しかし、後に冷静になって謝った際、スタッフは「それだけ忙しかったら、当たりたくもなりますよね!?」と笑ってフォローしてくれたのです。
なぜ、このような許しが生まれたのでしょうか?
それは、長年の付き合いの中で積み上げてきた「信頼貯金(信頼関係)」があったからです。
信頼とは、一朝一夕でできるものではありません。
いい面も悪い面も、かっこ悪いところも少しずつ見せ合い、長い時間をかけてコミュニケーションを積み重ねることで貯まっていくものです。
貯金があれば、たまに失敗して引き出しても(失礼なことをしても)、関係が破綻することはありません。
逆に、出会って間もない時期や、普段から対話が足りない相手とは、一回の失言で貯金が底をつき、関係が終わってしまうこともあります。
「雨降って地固まる」は本当か?
もし今、あなたが誰かと衝突したり、気まずい思いをしたりしているなら、それは「信頼貯金」をさらに太くするチャンスかもしれません。
衝突を乗り越えるプロセスが絆を強くすることも多々あります。
骨折した後の骨が以前より太くなるように、言い合いや行き違いがあっても、そこでしっかりと「話し合い」をすれば、以前よりも深い信頼関係が築ける経験をした人も少なくないと思います。
「話すことは理解の始まり、話さないことは誤解の始まり」という言葉があります。
言葉を尽くして、相手の考えを知り、自分の弱さも見せていく。その積み重ねが、あなたの周りに「ありのままの自分でいられる心地よい場所」を作ってくれるはずです。
おわりに
人間関係は、確かに難しいものです。でも、完璧な人間など一人もいません。
あなたが今日、誰かに優しくできなかったとしても、自分を責めすぎないでください。
そして、誰かの欠点が目に付いたときは、「あの人にも別の顔があるはずだ」と少しだけ視点をずらしてみてください。
時間はかかるかもしれませんが、焦らず、少しずつ「信頼貯金」を増やしていきましょう。
その貯金が、いつかあなたを救う最強の味方になってくれるはずですから。